国税調査

 

 テリー伊藤著、『お笑い大蔵省極秘情報』に、大蔵省に逆らう奴は税務調査かけて嫌がらせ云々、という記述があったと思いますけど、その税務調査ってのはこの「国税調査」の事でございます。

 国税調査をするのは国税調査官、調査官の所属は各地方の国税局調査査察部/調査部及び国税庁調査査察部です。これ見て分かるように、国税調査というやつは査察、つまり脱税摘発となかなか深い関係にあるんですね。査察が強制調査なら、国税調査は任意調査に該当します。強制か任意かという違いはありますが、「適正課税のための調査」という点から見れば両者異なるところはありません。

 国税調査とは、調査官が調査対象へ出向き、そこで帳簿類の任意提出を受けてそれを閲覧調査し、担当者に質問し、申告洩れや不審な点がないか調査する……というものです。よく新聞で、どこぞの企業が「国税局から××億円の申告漏れを指摘され修正申告した」などという記事を見かける事があります。これは、まさしくこの国税調査が行われ、国税当局が申告漏れ指摘をしたという事です。

 とこう書くと実にあっさりしてますが、詳しく国税調査の規定を見てみると実はなかなか奥深く一筋縄ではいかないようです。

 というのも、調査に当たって調査官は必要な書類の提出を受け調査に当たる訳ですが、実はこれ任意調査とは言うものの、調査に際して虚偽の報告や隠し事をしたり、調査の拒否や妨害をなした場合は公務執行妨害に該当し、罰せられてしまうんですね。国税査察のように自分の手で証拠を探して回るのではありませんが、任意だからといって相手が調査に非協力的であったり虚偽行為を働かないよう罰則で実効性を担保させています。罰則で担保してあるから完全な任意調査と言えないような気もしますが、しかしあくまでは「資料は相手が出す」というスタンスを保っていますので、「間接強制」とはいうものの任意は任意であります。

 しかも国税調査が入ると会計事務関係の書類がごっそりそっちに持って行かれるから仕事にも差障りがある、と。やられる側は身の潔白の証明になるとは言え、あんまり嬉しくない。こんなのしょっちゅうやられたらそれこそ商売上がったりな訳でして、任意調査といっても十分嫌がらせになるのでした。しかも、反税団体とみなした団体に国税庁長官の指示の下徹底した調査を行なった「民商事件」という前歴もある事だし。笑って済ます訳にはいきません。

 ……と、かようにやばげな事ばかり書いて来ましたが。そもそもこの国税調査は課税に当たっての基礎調査がその眼目で、こうした地道な調査の積み重ねが確実な国税徴収に繋がっている訳です。納税は憲法に定められた国民3大義務の1つです。調査されるのは合点が行かんという向きもありましょうが、ここは一つ、義務の履行という事で……

 

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