機動隊写真コーナー


 機動隊車両の特殊性を称して、とある本では「町のディーラーでは売ってなさそう」と書いてありました。原型は市販車ながら、擬装のせいで別の車のように見えるという事を表現したのか。なるほど確かに、輸送車一つ取ってみても、同じバスながらバス会社のそれとは大いに印象が異なります(当たり前か・笑)。我らが福岡県警もこうした車両を所有しておりまして、それらについてぽんが撮った写真が若干ございます。以下どうぞ。

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 輸送車です。白地に青緑のライン入りという明る目のデザイン、近頃の輸送車は大体こういう塗装をしています。輸送車については、見た事あるよという方も多いんではないかと思いますが、どうでしょう。擬装については御覧の通り、ルーフには赤色回転灯があります。窓と、あと見にくいですがヘッドライトに金網があります。フロント部と運転席側窓には何もありませんが、ここにも金網を張る事ができます。
 ちなみに写真の車両は県警本部が直接運用しており、輸送車ではあるものの機動隊と直接の関係はないようですね。所属が所属なだけに(?)基本塗装だけのフラットな姿で、所属を示してくれるようなマークや文字がどこにもありません。
 
 
 上の車両を後方から撮影しました。窓には金網が張られ、中央の扉は融通の効く手動扉のようです。この辺りは確かに市販のバスとは違います。
 車両後部も特徴的で、まずブレーキ灯などランプ類には金網が張ってあり、排気管はルーフ上まで延長されています。ここに詰め物されるとエンストしますから、防護上こうしてある訳ですね。最後尾の窓は、金網どころか鉄板で塞いであります。まあ、運転手にとっては最も目が届きにくい場所ですから、暴徒に囲まれてもいちいち気を使わなくて済むよういっそ塞いでしまえ、という事なんでしょう。
 最後尾に引っかけてある金網ですが、これは何も排気管を守るために付けてあるのではなくて、フロント部に付けるための金網です。こんなものを目の前に付いていては運転しにくいですから、普段は邪魔にならないようこうして後ろに引っかけてある訳です。
 
 
 フロント部に金網を付けた輸送車の写真は、こちら。写真だと、大して変わってないように見えてしまうかな…(苦笑)。実際の金網はなかなかゴツく感じられるもので、しかも網を付けたままでもワイパーが動かせるようにきちんとスペース取りがしてあるなど、なかなか凝っています。とは言え、やはり運転するには邪魔ですね。
 ちなみに、あとは運転席側の窓に金網を付ければフルチューンされた輸送車の出来上がり、という事になるようです。これでフルチューンと言っていては扉部分が弱点になりそうな気もしますが、前部と中央部の乗降口には金網を付けるための金具らしきものが見当たりませんから、おそらくは付けられないんでしょう。大体、扉を塞ぐ事なく金網を付けるとなると、構造にいろいろ工夫をこらさなくてはならず、面倒そうですからね…。そもそも石と火焔瓶の飛び交う最前線に出るような車両でもありませんし、そこまではせんでもよいという事なのでしょう。
 
 
 管区機動隊の輸送車です。フロント上部にエンブレムが描いてあり、また車体前面下部と車体後方に「管1-1」と書いてあるのがお分かり頂けますか。これがあるので、同じ輸送車でも管機のそれは大変見分けやすいです。ちなみにこの「管1-1」という番号、意味は「九州管区機動隊第1大隊第1小隊」という意味らしい。
 ところで、管区機動隊は非常設につき、その要員は普段は本来の任務に就いています。我らが県警の場合、大規模な警察署の地域課員(つまりは制服警官)で編成し、1署につき1小隊の割合で割り振っているみたいです。という事で、車両の配備先もそれぞれの警察署になっておりまして、本車の場合は県警中央警察署となっています。
 
 
 輸送車の写真はこれで最後、とりを飾るのは基幹部隊たる機動隊の輸送車です。丸屋根が特徴的な通称カマボコこと、警備車と並び停まっているところ撮って参りました。基幹部隊たることの目印は、車体前面下部と車体側面前方に描いてある「とびうめ」のマークです。隣のカマボコにも同様のとびうめマークが付いている事からも分かりますように、県警機動隊所属の車両にはすべてこのとびうめマークが付いています。これさえ知っておれば、とびうめマークを見れば「福岡県警機動隊の車両だな〜」と分かるという寸法です。また「とびうめ」の中にはローマ数字の1ないし2のどちらかが書いてあって、それで1機・2機いずれの所属であるかが分かるようになっています。ちなみにこの写真に映っている車両は、輸送車・警備車いずれも1機所属です。
 ついでに、関係ない事ですけど。写真右端のワゴン車ですが、実はただのワゴン車ではなく、覆面捜査車両です。写真では分からないかもしれませんが、ルーフには回転灯ボックスの蓋があり、警察無線のアンテナが2本も突っ立っていました。しかもナンバーは、そのものずばり8ナンバーでありました。とびうめマークがないので機動隊車両ではないようですが、フロント上部に金具とおぼしきものがあったので、金網を張る事はできるみたいです。おそらく公安の車両なんでしょう…。うーん、撮っていて思わずどきどき。(笑)
 
 
 遊撃車の写真です。これは見ての通りマイクロバス型で、塗装は白と灰色を基調とした旧タイプのものです。こうした旧塗装の車両は、これからは消えていく一方でしょう。
 本車両も窓、ヘッドライト、さらにはウインカーに金網が張ってあり、運転手側の窓とフロント部にも金網を張るための金具があります。とびうめマークなし、エンブレムなし、という事で機動隊とは関係のない車両ですが、それでもある程度荒事こなせるだけの擬装は施してありますね。
 
 
 上掲車両を後方から撮影。窓とランプ類のすべてに金網張ってあるのはもちろんですが、一見して特徴的なのは車体後面の扉でしょう。マイクロバス型遊撃車の多くは後部を片開きないし両開きの扉に改造しているようですが、本車両でも同様の処置が施してあります。またそこからの乗り降りに便利なよう踏台も準備してあります。これまた確かに、市販マイクロバスとは大いに異なります。
 本編でも述べたように遊撃車は小人数で目立たないよう警備する際に使われるという事ですが、それを考慮するとこういう擬装が施してあるのもなるほどうなずけます。小数の見張りを除き、普段はみな路地裏に停めた車内で雨風をしのいでいる。で、いざ事案発生という時には後部の扉をはね開けて一斉に飛び出し、駆けつける。ざっとこんな感じで使われるんでしょうか。なお、車内配置も大体が後部扉の使用に便利なよう手を加えてあるという話です。具体的には、通路を広く取るために、壁を背にし中央の通路を挟んでお互い向き合うように座る座席配置(いわゆる通勤電車の座席配置を思い出されるとよろしいかと)になっている車が多いそうな。
 
 
 マイクロバス型遊撃車の写真その2です。同じようなマイクロバス型ながら、こちらは前者とは違って御覧の通り、白地に青緑のラインを入れた最近流行の塗装を施してあります。しかし、窓とランプ類に金網を張ってある点、運転席側窓や(写真には写っていませんが)フロント部にも金網を張るための金具が備わっている点、後部は両開きの扉になっている点などなど、基本的な装備に関しては旧塗装の遊撃車と比べても変わったところがありません。色は違えど遊撃車は遊撃車。
 ちなみに、写真に写っている車両は、機動隊とは関係のない車両です。
 
 
 手前の紺色ワゴンが、ワゴン型の遊撃車になります。紺一色、何も色気のない塗装で、不必要に目立たないぬように心がけてある…ようですが。しかしこれはこれで独特の迫力といいますか、 "味" を感じさせる姿です。「ゲリラ対策車」ってのは、このタイプの車両のことを指すんでしたっけ?
 やや遠方から撮影したので、見づらい写真になってしまいました。すいません。一応解説しますと、本車両も窓とヘッドライトに金網を張り、運転手側の窓とフロントには金網を張るための金具があります。ワゴン車とはいえ、少々の投石程度なら耐えらるように仕様してありますと。
 さすがにこれくらいの車になりますと、車内もそれなりに狭くなって来ますので、小規模警備の待機用車両として使うには少々不便なようですね。それよりも、逮捕者の護送であるとかこまごました輸送・連絡任務だとか、小回りを生かした便利屋的な使い方をされがちな車両でもあるようです。
 
 
 さて、上で出て来た車両は機動隊とは関係のない車両でしたが、こちらは同じワゴン型遊撃車でも機動隊に所属している車両です。写真の隅っこに小さく写っていたのを拡大したので、相当見えづらい映像ですけれども。紺色の車体に白いとびうめマークが描かれているのが見えますでしょうか。さすがに、1機か2機かの別まではつけられませんでした。
 
 
 警備車の写真です。車体側面前方及び前面には、中にローマ数字の1が書かれたとびうめマークがあり、さらに「特」の字がありますので、1機の特車隊とかなんとか、そういうところの車両なのでしょう。
 見ての通り車体はほぼ完全に鉄板で覆われており、窓などの開口部は最小限に押えてあります。フロント部は大空きですが、必要とあらば細い覗き穴がついた鉄板がせり上がってきて防護するようになっています。まさに装甲車。ルーフは丸みをつけて防護力を高めてあり、建物の上から物を落されてもいいように出来ています。四角い体に丸い頭、というところから、「かまぼこ」の通称が付きました。なお、一見赤色回転灯がありませんが、暴徒からがんがんものを投げられ/落されるような車両にむき出しの赤色回転灯を付けても壊されるだけという事で、フロント上面に金網で覆った赤色警光灯をつけ、これでもって回転灯の代わりとしてあるようです。
 まあ、何と言いますか。手入れは行き届いて見えるものの、全体的にどこか古めかしいデザインという印象を受けます。もしかすると、70年代当時から使っていた歴戦の車両なのかもしれません。
 
 
 同タイプの「かまぼこ」の写真をもう1枚。7枚上の写真で輸送車と一緒に写っていたのと同じ警備車です。フロントにせりあがっている細い覗き穴つき防護板にご注目下さい。写真では、前方視界や明るさを考慮して上半分を空けてあります(それでもかなり前が見にくそうですけど…)が、いざという時には当然完全に覆ってしまうことになります。
 また本車両では車体前面及びルーフ上の通気口も閉じられております。この他目立つ開口部としては運転台と人員搭乗区画の側窓がありますが、ここも装甲板でふさぐことができます。灰地に白ラインという旧塗装も手伝い、なかなかいかつい印象を与える姿。
 
 
 警備車の写真その2です。上掲の写真と比べてみるに、こちらはより新し目な印象を受けますね。白地に緑青という「警備車らしからぬ」ソフトな新塗装もそうですが、フラットなルーフ、コンパクトにまとまったライトとフロントグリル、すっきりと整えられた前面、などなど。全体的に洗練されたなという感じです。
 とはいえ、警備車であることには変わりありません。基本となる装備は上掲の警備車と同じく、ほぼ全面装甲で覆われた車体、前面上方には回転灯代わりの警光灯、運転台より後部は人員搭乗用の区画と見られ、その側面には防護措置を施した扉と4つの窓。フロント部と運転台側窓は大きくあいているが、おそらく装甲板が下からせり上がってくる構造になっている。といったところです。車体の大きさはバス並で、ソフトな中にもじわりとにじみ出る威圧感があります。
 本車は2機の所属車両で、車体の前面と側面にローマ数字の2が入ったとびうめマークが描かれています。また車体側面後方、青緑のラインが切れたところに「F2」(2はローマ数字)と書いてありますが、これは2機車両独特の書き込みです。
 
 
 上の警備車を後方から写した写真です。写真では見づらい(見えない?)かと思われますが、車体の後面には人員や機材を出し入れする扉がありまして、この警備車が輸送車をも兼ねていることをはっきりと示しています。
 なお、このタイプの警備車は最初から装甲車両として設計・生産された車両ではないらしく、基本となる車体(バスかトラック)に装甲の「箱」をかぶせ、さらに所要の擬装を施すことによって完成に至るという話です。なんだか付け焼き刃な印象を受けもしますがしかし、投石や火炎瓶に対抗する「簡単な」警備車の場合は、装甲車両として専門の設計・製造を行う必要はなく、このような方法で十分間に合わせることができるようです。本車両も、(写真では見えませんが)運転台側窓のところで外板が二重になっているのが見えました。つまり、内側が本来の外板、外側が装甲板ということですね。
 もっとも、銃撃にも耐えられる特型警備車となると話は別で、あちらは装甲車両として専門の設計と製造ラインのある車両になります。
 
 
 第1機動隊の指揮官車です。原型は4輪駆動車、前線に出る車両だけあって窓からライト類から回転灯からすべて金網が張ってあり、フロント部にも上から金網をスライドさせるように仕様してあります。運転席側の窓にも金具らしいものがあり、どうやら金網が張れるようです。ルーフ上の拡声器にまで金網を張ってある(まあ、異物が飛び込まないようにとの配慮からなんでしょうが…)ところなんて、実に芸が細かくていい感じです。
 ところでこの指揮官車、前線に出る車両ではありますが、塗装は近頃はやりの白地に青緑のライン、というものです。別にデザインが悪いというつもりはありませんけど…でも、これではどうも威圧感に欠けるような気がしますね。暴徒相手にするのにソフト路線もねえもんだと思われますが。まあ、実力があるのなら構わないという事ですか。
 
 
 いかつい灰色1色に塗られた指揮官車はこちら。輸送車やマイクロバス型遊撃車の旧塗装は灰色と白の2色塗装でしたが、指揮官車の場合は灰色1色となるようです。本車の所属は機動隊ではなく県警本部であるらしく、車体には「福岡県警察」と書いてあるのみ、とびうめマークはありません。
 本車両は指揮官車の特徴であるルーフ上の「やぐら」を持っていませんが、しかし後部にはルーフに至るはしごがあり、ルーフ上には「やぐら」の台座もあるので、単に取り外されているだけということが分かります。その他は上の指揮官車と同じく、窓・回転灯・拡声機に金網が張ってあり、フロント部には上から金網が降ろせるように仕様してあります。
 なお本車両は塗装こそ古いものの、車両自体はそこまで古いようには見えません。元になっているのはトヨタのランクル…のように見えるのですけど、どうでしょう。そうだとすると、新しい車両であっても旧塗装で色塗ることがある、ということになりますね。
 
 
 新型の放水車です。何と言いますか、昔の放水車のイメージとは似ても似つきませんね(苦笑)。まあ、これも時代の流れという事ですか。白と青緑を基調としたソフトなデザイン、消防のポンプ車のような外見(なんとホースまでしっかり積んでいます!)。予備知識なしでこの車両を見て、警察の車両だと分かる人が果して何人いるものやら。福岡県警には、平成10年に導入されたようです。
 一見してお分かり頂けるかと思いますが、運転台のすぐ後方に「砲塔」があって、そこに高圧放水砲があります。ホースをくっつけた荷台上の箱は水槽です。問題は水槽上に載っている箱状の物体ですが、この正体は… 後述。お楽しみに。(笑)
 
 
 右斜め前方より撮影。ここでは車両の前半分について見る事としましょう。
 運転台後席の窓とヘッドランプには金網が張ってあり、フロント部と運転席の窓にも金網取り付け用の金具が設置してありますから、やはりこれも警備用の車両という事が分かります。運転台に前席と後席があるのは、乗車定員が6名だからです。おそらくは後席が放水砲操作要員の席なんでしょう。
 その放水砲ですが、単に水をぶちまけるだけでなく、砲の脇にライトを付けて(これも、しっかり金網で覆ってありました)夜間の使用にも便利なように仕様してあります。砲塔を車内から操作できるかどうかは分かりませんが(撮影当時お子様だらけだったのと、若干の恐怖心のせいで、車内は撮影していません・苦笑)遠隔操作自体は可能でして、有線リモコンで操作するようになっています。写真では車体に右側に警察官が立って何かいじっていますが、実は車体に繋いだリモコンのコードを外そうとしているのでした。
 
 
 左斜め後方より撮影。このアングルから見ると車体後方が強調されるせいか、ポンプ車的なたたずまいを見せています。どうもこの新型放水車というのは、原型が消防用の4トンポンプ車らしく、姿形はもちろんのこと、性能面でも似ている部分が多いようですね。しかしとびうめマークはしっかりついていますので、やはり機動隊、それも1機の車両である事に間違いはありません。ちなみにこの車両、擬装したのは消防車好きさんにはおなじみのモリタ。
 さて、水槽上にある謎の箱状物体ですが…。結論から先にさっさと言ってしまうと、砲塔の後ろにこの箱を立て、その中に人が入って砲塔を操作します。透明な板ガラスみたいなのはアクリル板で、防護性を考慮してある訳です。
 さらにこの放水車、外部をすっぽりと装甲で覆い警備車仕様とすることができます。しかるにこの場では、御覧の通り原型のまますべてむき出し。人前に出すに当たって、わざわざ装甲を外して持ってきているわけですね。起倒式の操作員区画といい、着脱式の外部装甲といい、なんとも妙に手間をかけた車体となっています。放水車なんて警備以外に出番のなさそうな車なのだから(火事場に出動するとも思えません・苦笑)そんな手間をかけるのはちょっと不合理な気もするんですけどね。でも、ともかく、そういうことになってる訳で… 
 

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